リンパ節転移陰性におけるオンコタイプDX乳がん再発スコアⓇプログラムの臨床エビデンス
注)オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラムは、オンコタイプDX乳がん再発スコア検査と日本向けに開発したソフトウエアを組み合わせたプログラム医療機器です。ここでは、オンコタイプDX乳がん再発スコア検査について概説します。
ホルモン受容体陽性、HER2陰性、リンパ節転移陰性の早期浸潤性乳がんにおけるオンコタイプDX乳がん再発スコア検査の臨床的妥当性及び有用性は、85,000例を超える患者さんを対象とした広範な臨床研究により確立されています。
オンコタイプDX乳がん再発スコア検査が持つ化学療法効果予測能
- オンコタイプDX乳がん再発スコア検査は、ホルモン受容体陽性、リンパ節転移陰性早期乳がんの遠隔再発リスクを予測することが確認されました1。
- オンコタイプDX乳がん再発スコア検査は化学療法の効果を予測することが、2群ランダム化NSABP B-20試験により確認されています2,5,7(再発スコア®結果と化学療法効果の間の交互作用p=0.0145)。
- 前向きランダム化TAILORx試験により、化学療法の効果についての知見が明らかになりました3,7,8。
化学療法の効果を予測することが確認されています
TAILORx試験及びNSABP B-20試験で得られた臨床エビデンスにより、オンコタイプDX乳がん再発スコア検査が化学療法を回避できる患者さんと、化学療法により大きな効果が得られる患者さんを特定できることが確認されました3,5。
再発スコア結果が0~25の場合、内分泌療法に加えた化学療法の効果はありません2,3,5
およそ80%の患者さんが該当3,6,9
再発スコア結果が26~100の場合、内分泌療法に化学療法を加えることで大きな効果が認められます。2,5
およそ20%の患者さんが該当3,6,9
実臨床を変えたTAILORx試験
NSABP B-20試験により、再発スコア結果が0~10の場合には内分泌療法に化学療法を併用しても効果が得られず、再発スコア結果が26~100の場合には化学療法の併用により効果が得られることが確認されました5。TAILORx試験は、再発スコア結果が11~25の場合に、化学療法と内分泌療法の併用に比べて、内分泌療法のみによる治療が非劣性であるかどうかを確認するためにデザインされました3,8。
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TAILORxに関する追加情報
実臨床エビデンス
実臨床におけるエビデンスは臨床試験の結果と一致しています。オンコタイプDX乳がん再発スコア検査は、化学療法により大きな効果が得られる再発スコア結果が26〜100の患者さん(15~20%)を一貫して特定することが可能です。SEERレジストリに関する追加情報
7万例を超える実臨床におけるSEERレジストリの解析からも、オンコタイプDX乳がん再発スコア結果が化学療法の効果を予測するというエビデンスが得られています6
SSEERレジストリの結果は、50歳未満で再発スコア結果が16以上の患者さんには化学療法の効果がある可能性を示したTAILORxの探索的解析の結果を支持しています。
TAILORx試験に参加した患者さんは、実臨床を反映しています。
TAILORx試験の患者背景は、同時期に実臨床において治療を受けたSEERレジストリの患者背景と同様でした3,8,11。
オンコタイプDX乳がん再発スコア検査が選ばれる理由
オンコタイプDX乳がん再発スコア検査により、内分泌療法に化学療法を併用しても効果が得られない大多数の患者さん、そして化学療法が救命的となる重要な少数の患者さんを特定することができます2-6。
- オンコタイプDX乳がん再発スコア検査は79の臨床試験やレジストリ試験において、のべ96,000例を超える乳がん患者さんを対象に検討されています。
- 前向きランダム化臨床試験、臨床的妥当性確認試験および実臨床レジストリから得られた大規模かつ一貫したエビデンスがあります。
- オンコタイプDX乳がん再発スコア検査は実臨床においてもっとも多いサブタイプを対象として、前向きに検討されています。
- オンコタイプDX乳がん再発スコア検査は、化学療法が奏効する患者さんを特定できることが2群ランダム化臨床試験で実証された検査です。予後予測と効果予測の違いについて詳しくみる
- オンコタイプDX乳がん再発スコア検査は、予後予測のみの指標と比べてより正確に、内分泌療法に化学療法を併用することで効果が得られる患者さんを特定することが可能です。
- オンコタイプDX乳がん再発スコア検査は、4つの主要な国際ガイドラインに記載されるとともに2つのEU医療技術評価機構により推奨されています13–18。
主要な試験の詳細
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NSABP B-14試験1:オンコタイプDX乳がん再発スコア検査の最初の臨床妥当性確認試験であり、再発スコア結果がER陽性、リンパ節転移陰性乳がんの遠隔再発リスクを定量化できることが示されました。再発スコア結果が低い場合には、高い場合に比べて有意に10年遠隔再発率が低いことが示されました。
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NSABP B-20試験2,5,7:本試験では、オンコタイプDX乳がん再発スコア検査がER陽性、リンパ節転移陰性乳がんにおいて、化学療法の効果が得られる可能性を予測できることを確認しました。再発スコア結果が低ければ内分泌療法に化学療法を併用することによる効果は少なく、再発スコア結果が高ければ化学療法による効果が大きく見込めることが分かりました。
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TAILORx試験3,8,19:多遺伝子検査に関するレベル1Aのエビデンスが得られた最初の前向きアウトカム試験であり、全体として、再発スコア結果が11~25の場合には内分泌療法に化学療法を併用しても効果が得られず、内分泌療法のみにより有効かつ安全に治療できることが示されました。
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リファレンス